宇宙創造の記憶は私たちの生命の営みにそのまま反映されています。
人智学的な考え方で言えば、
土星は人間の身体の中で今も生きています。
土星は光を浴びることはなく、病気を患った時、私たちの中にいつもある土星が姿を見せてくれます。
土星は、私たちの中でバラバラになった人間としての発達のステージをひとつにまとめてくれるような大事な役目を果たしてくれます。
土星は鉛の冷たさを持ちます。
鉛の重さと冷たさは、肉体に静かに沈んでいくような力を持ちますが、
同時に表面に熱を生じさせます。
それが土星の二次的な力です。
氷水のような冷たい水に手を浸したら、手は冷たく麻痺して、固まり動かなくなるようなことが起こりますよね。
でも、その後に何が起こりますか?
手が熱を帯びてきませんか?
正に土星の力とはそういうものなのです。
固める力を持ちながら、そこに熱を生じさせるのです。
赤ちゃんの成長の過程でも、発熱の後、歩けるようになったとか
発熱の後、発語があったとか、
そういうことはよくありますよね。
ひとつの発達のステージに発熱が起こります。
熱があるところに自我が降りてくるので、また新たに「人間」になっていくということが発熱であり、土星は私たちをより人間らしく発達していくことを助けてくれるものなのです。
発達には終わりがありません。
何も考えず、熱が出たからとすぐに解熱剤を飲むのは必ずしも得策とは言えません。

この宇宙の進化と同じで、
土星紀の後には太陽紀がやってきます。 (インド占星術のダシャーとは違う話ですので混乱しないように)
土星の力で得た「熱」という温かさには、風と光の要素が含まれています。風と光は一緒に存在しています。
呼吸は風のリズムです。そして私たちは光を取り込みます。
光はただ目で取り入れるものではありません。
光は太陽を通したものの印象です。
私たちは光をすぐに感じ取ることができます。
じんわりと地を温める、地を冷やすというような感覚とは違い、
光の感覚はすぐにやってきます。
そして、感覚に任せていくと、そこにあるのは「生命の息吹」です。
温かい光と空気のビート。それが太陽の力なのです。
私たちが病気になったとき、本人に治す気がなければどうにもなりませんよね。
でも、太陽の力は、自分自身が自分を癒していく意志を内側からもたらしてくれます。
魂そのものの態度を変える力を太陽はもちます。
どちらを見るのか変えていく力を太陽は持つのです。
どんな素晴らしい治療を施しても、本人が治したいと本気で思わなければ治療の効果はイマイチ出ません。「本当は良くなりたくないんでしょう?」と言いたくなるほどに、言い訳で、自己管理を拒否しまくる人たちが今の世の中にはたくさんいます。
太陽の力が足りないのかもしれませんね。
太陽は「自我」を育ててくれますから。
そしてね、太陽は心臓でもあるので、死ぬまで鼓動で「ここにいる」ということを表現しているのです。
リズムを刻む生命そのものが太陽と繋がっているのが分かりますね。

そして月の力は、生命のオーガニズムが道をそれていってしまいそうな時、それを防ぎます。月は、ずれていくオーガニズムを元に戻す力を持っているということになります。ある意味、人間が人間としてこの形を保っていることができるのは月のお陰でもあるのです。
土星は温かさを与え、太陽はリズムを、そして月は形を与えるということになります。脳の重さは、外に出して測ればだいたい1.5キロ。ところが身体の中におさまっている脳の重さは20g程度です。脳脊髄液があるので浮いている状態として見ると、ということです。その「浮く」という力そのものが月の力。体液が月と繋がっているのを私たちはみんな知っていますよね。この地球上の生殖は月に影響される体液が関係しているのは分かると思います。
人間の生命に関わる人が人としてのホールサムな健康を見る時、決して、この生命を宇宙と切り離して考えることはできません。
分泌、呼吸・循環、神経・感覚は全て惑星の働きに繋がっています。
占星術では12のハウス、12の星座があり、人間には、12の脳神経があります。
そして27の脳幹に続く細胞群があります。それはインド占星術でいうところのナクシャトラとう星座区分です。
この宇宙の壮大なロマンだと私は思います。