AI時代の「書くこと」とは

yellow flowers on white textile

個性と調和の未来を見つめて

ルドルフ・シュタイナーは、近代以降の人類が「アーリマン的意識」に引き寄せられていくことを予見しました。
アーリマン的とは、世界を数値や構造、機械的な法則として捉え、物質的な側面だけを唯一の現実とみなす傾向のことです。合理性や効率を最優先し、生命や心の奥行きを軽視する──現代の科学技術やAIのあり方は、まさにこの傾向を象徴しています。

こうした意識は、私たちの生活を便利にし、知識を瞬時に共有できる力をもたらしました。しかし同時に、感情や直観、芸術的創造力といった「人間らしさ」を周縁へと押しやってしまう危うさも秘めています。
シュタイナーは、この力を完全に否定するのではなく、「人間の成長に必要な試練」として受け止めつつ、過剰な合理化を感情や直観、自然との関わりによってバランスさせることの重要性を説きました。かつて、情報は高価で希少なものでした。新聞や本、雑誌が届ける物語や知識は、まるで宝石のように大切に扱われ、人はそれを求めて書店や図書館に足を運びました。
けれどもインターネットが普及し、さらにAIが進化した今、情報はあふれかえり、誰もが瞬時に同じ情報に触れられる時代になりました。かつて価値を持っていた「情報」そのものは、もはや簡単に手に入るありふれたものになりつつあります。

では、そんな時代に「書くこと」に意味は残っているのでしょうか。
AIは膨大なデータから最適なパターンを見つけ出し、整った文章を生み出します。しかしそれは、多くの場合「平均値」のようなもの。巧みであっても、そこに生の手触りや、その人だけの香りは宿りにくいのです。

Photo by Suzy Hazelwood on Pexels.com

アーリマン的意識と「人間らしい学び」

先ほども書いたように、ルドルフ・シュタイナーは、人類の発達過程において「アーリマン的」傾向が強まる時代が来ると語りました。アーリマンとは、世界を過剰に合理化し、測定や計算、論理の枠に押し込める力を象徴します。便利で効率的である一方、そこには感情や想像力、生命の温もりが薄れやすいのです。

シュタイナーはこうも述べています。

「人間の学びは、単なる知識の習得ではない。それは、魂と精神を養う経験の道である。」

本来、学びとは頭だけでなく、心と意志を伴う営みです。たとえAIがどれほど完璧な情報を示してくれても、「なぜそれを知りたいのか」「そこから何を感じ、どう生きるのか」という問いは、人間だけが持てるものです。


Photo by Matej on Pexels.com

それでも「書くこと」は生き続ける

情報が均質化するほど、「どんな情報を選び、どんな視点で語るのか」という主体性は強く求められます。
たとえば──

  • 自分が実際に体験し、感じたことから書く
  • 誰かの心に届く言葉を探す
  • 目の前の現実を観察し、そこから意味を紡ぐ

こうした営みは、データの再構成では生まれません。書くことは、自身の感覚や価値観を世界に響かせる行為であり、読者との間に見えない橋をかける行為でもあるのです。


情報から知恵へ、そして「共にあること」へ

これからの時代に必要なのは、単なる情報のやり取りではなく、そこに温度を宿らせることだと思います。
AIやネットを通じて得た知識も、生活の中で実際に試し、観察し、語り合うことで初めて「血の通った知恵」になります。

「小さなミカエル学校」の12の月のめぐりは、そのための土台です。自然のリズムに沿った学びは、アーリマン的な均質化や効率化の波に呑まれず、一人ひとりの中に静かに息づく“生きた知識”を育ててくれます。

合理性だけに傾く時代だからこそ、私たちは「共にあること」を選びたい。
そこから生まれる知恵は、きっとこの先の未来を照らす灯りになるはずです。

小さなミカエル学校とは?

この学校は、「学ぶ」ための場所ではなく、
内なる命のリズムに耳を澄まし、育てていくための場所です。

アントロポゾフィーの視点に根ざしながら、
現実の暮らし、身体、感情、思考のすべてが
少しずつ整っていくような流れを意識して構成しています。


月のリズムに寄り添う3つの柱

小さなミカエル学校では、以下のようなコンテンツを通じて、
自分自身と、世界との新たな関係性を紡いでいきます。

1.月に一度のオンラインワークショップ

その月のテーマをじっくりお届けします。
色彩、鉱物、感覚、惑星、暮らしのなかの身体感覚など、
目に見えないけれど確かに存在する「育ちの流れ」に気づく時間です。

(アーカイブ参加も可能)

2.月に一度の読書・勉強会の時間

指定された本を通じて「感じる力」を育て、
他者の視点にも触れることで、内面の広がりを持たせます。
(アーカイブ参加も可能)

3.週に一度の言葉の便り

濃密なニュースレターとして、
言葉を通じて皆さんの時間に灯をともします。
言葉が深く届く方には、今までどおり、満足のいく内容になると思います。


ミカエルという存在について

ミカエルは、
「混沌の中で方向性を照らす光」として、
アントロポゾフィーでは特別な存在として語られています。

この学校の名前に「小さなミカエル」とつけたのは、
誰かに導かれるのではなく、
自分の中にその“勇気と方向性”を育てていきたいという願いから。

完璧でなくても、まっすぐでなくても、
それでも「育っていこう」とする力にこそ、尊さが宿るのだと思うのです。


参加について

  • 月額 2,200円(税込)
  • 12カ月契約(入会月から1年間)
  • いつからでもスタートできます
  • オンライン/アーカイブ参加OK
  • 決済:クレジットカードまたはPayPal


最後に:ともに、12の月をめぐる旅へ

月のめぐりに寄り添って、
自分の中に「小さなミカエル」を育てていく1年。

正しさよりも、やさしさを。
完璧よりも、生命のリズムを。
そんな旅を一緒に歩んでくださる方をお待ちしています。

詳細・お申し込みはこちら
👉https://www.reservestock.jp/conclusions/25387

投稿者: mayumicosmiclight

神奈川県生まれ神奈川県育ち。20代でオーストラリアに移住。在豪30年。 感覚の過敏さから精神的な不安定さに悩まされて大人になる。 40代で発達障害であると分かる。 シドニー大学博士課程終了。人文学専攻。(中世の錬金術、シンボリズムなど) 自分自身の生きづらさの真実を知るために様々な療法などを学び続ける。 シュタイナー教員養成コース終了後、オーストラリアのシュタイナー学校勤務。 手仕事の授業を担当するものの、手仕事を通して生きづらさそうな子ども、学習に時間がかかる子どものことばかりが気になり シュタイナー治療教育にあたるエクストラレッスン®を学ぶ。 現在はクリスタルエッセンス製造元であるCosmic Light Therapy® Cosmic Light Pty Ltdディレクター。 シュタイナー学校でのエクストラレッスン®プラクティショナーとCosmic Light社のディレクターという二足の草鞋を履きながら、鉱物療法、芸術療法、サウンドセラピー、など生きづらさや感覚過敏の人たちが、生きやすくなるような講座を主催。半年に1回、日本で子どものアセスメントと個別セッションを行っています。また、Cosmic Light®【Planetary Alchemy®】でアントロポゾフィーに基づく鉱物療法のプラクティショナーをもっと育てたい情熱をもとに全ての家庭の救急箱にクリスタルエッセンスを、と願う日々。 プライベートでは、国際結婚&国際離婚。子ども二人をシュタイナー学校に入れて働いてきたシングルマザーでもあります。人生の引き出しは色々あります。

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