「ヨハネ祭」月の殻を越えて、太陽の意志を生きる発達の道

blooming chamomiles in meadow

月の殻

月は、記憶の天体です。それは身体のリズムを維持し、過去の形の跡を違わず保ち続けます。エーテル体の記憶の形、それが月のリズムの作用であり、その力は、生命の維持や習慣となって人間を支えています。しかし同時にそれは、私たちをすでに機械的にします。

この「月の支配を超える」こと。 それこそが、未来に向けて最も急務に求められている人類の作業であり、その移行点となるのがまさに「ヨハネ祭」なのです。

full moon over black mountain
Photo by Pixabay on Pexels.com

外の火から、内の火へ

ヨハネ祭は、夏至直後の6月24日に祝われます。キリスト教では「洗礼者ヨハネの誕生日」とされ、ヨーロッパ各地では火を焚いて祝う伝統があり、夏至の太陽の力を地上に封じ込めるような意味も込められています。日本で言えば夏越の祓や火祭りに通じる要素もあり、自然と人間のあいだに生じる霊的な転回の時期でもあります。

この祭りが示すのは、単なる宗教的な記念日ではありません。夏至によって太陽が天の高みに達したとき、魂はそこから「外の光」ではなく「内なる火」を見出す転機を迎えるのです。

「我は衰え、彼は栄える」 ――これは洗礼者ヨハネの言葉ですが、ここに象徴されているのは「過去の自己」が一度力を退き、「新しい意志の光」が内側に生まれ出る過程です。このとき、魂の中ではある種の反転が起こります。

外に向かって育ち、模倣と習慣によって形づくられてきた月的な魂が、そこから抜け出し、内なる太陽=意志と直結する自己へと変容を始める。それがまさに、ヨハネ祭において私たちが経験する内的季節の転回です。

campfire on beach during sunset time
Photo by ROMAN ODINTSOV on Pexels.com

二人のヨハネ

魂の浄化と光明の道 ここで忘れてはならないのが、「ヨハネ」という名を持つ二人の霊的人物の存在です。

ひとりは洗礼者ヨハネ。(John the Baptist)

もうひとりは「ヨハネによる福音書」の著者である使徒ヨハネ(John the Evangelist)です。

洗礼者ヨハネは、旧約から新約への橋渡しをする存在であり、魂の古い殻――過去の業(カルマ)、エーテル的習慣、繰り返しのリズム――を火によって焼き尽くす「魂の浄化者」として登場します。彼の言葉と行いは、月の支配からの脱皮を促す象徴といえるでしょう。

一方、使徒ヨハネは「はじめにロゴスがあった」という霊的真理を語る者であり、魂の奥底にある内なる太陽、すなわち個としての意志と宇宙的言葉との一致を導く存在です。彼は「愛された弟子」であり、キリスト意識を最も深く理解した者でもあります。

ヨハネ祭で祝われるのは「洗礼者ヨハネ」ですが、魂の成長という文脈では「使徒ヨハネ」もまた不可欠な存在として統合的に語られています。

この二人のヨハネの働き――「浄化」と「光明」――は、まさに私たちが月から太陽へと移行していく魂のプロセスにおいて必要な二つの霊的力なのです。

fresco portraying rows of saints
Photo by Marina M on Pexels.com

錬金術的転化としての発達

 この魂の転回は、錬金術の観点からも読み解くことができます。

錬金術において、「鉛」は最も重く、硬直した物質。これは土星に対応し、制限や過去、カルマ的傾向を象徴します。「銀」は月であり、反映・記憶・習慣の力を象徴します。

太陽は「金」として、純化された意志、中心性、霊的覚醒の象徴です。

月=銀は、本来柔軟で可変性のあるものですが、それが固着すると「鉛のような魂」となり、過去の反復に縛られます。これを火によって焼き、金へと変容させるプロセスが錬金術の本質であり、魂の成長においても同様の現象が起こるのです。

特に子どもの発達において、この「月から太陽への転換」は重要なテーマです。

模倣と習慣によって育まれる初期の魂(0〜7歳頃)は、

やがてエーテル体が成熟し(7〜14歳)、

9歳前後には「私は私である」という中心感覚=自我の萌芽が生まれてきます。

このとき、子どもは世界との境界を感じ始め、自分という存在が親や教師とは異なる「ひとつの意志」として立ち上がってくるのです。それはまさに「内なる太陽」が芽吹く瞬間であり、同時に「月の殻が破られる」試練の時でもあります。

natural stone stuck in melting ice
Photo by Mikhail Nilov on Pexels.com

魂の暦とヨハネ祭の役割

アントロポゾフィーにおいては、1年の季節そのものが魂の呼吸であるとされます。

春に魂は芽吹き、夏に世界と交わり、秋に内省し、冬に再生する。

ヨハネ祭はその中でも、「拡大から収縮への転回点」として位置づけられます。 それは魂が外界との関係から一度立ち返り、自らの中心に火を灯すような時。

この転回は、個人の人生における成長や意識の変容にも呼応します。 反復的に生きていた自己が、そこから意志をもって歩もうとするとき。 習慣に依存していた存在が、自ら問い、選び、創造しようとするとき。

ヨハネ祭は、そうした内的覚醒のきっかけとして、今なお重要な意味を持ち続けています。

landscape photography of sunflower field during sunset
Photo by Peter de Vink on Pexels.com

 月の支配を超え、太陽の人となる

それはただの象徴ではなく、発達の道そのものであり、人間の霊的進化の骨格です。 洗礼者ヨハネの火を越え、使徒ヨハネの光へ向かう。 その過程で、私たち一人ひとりが、自らの内に「季節の転回点」を見出していくことができるのです。

このヨハネ祭の時期にこそ、外の光から目を閉じ、内なる火の明滅を静かに感じる時間を持ちましょう。 そして月的な殻を一枚ずつ脱ぎながら、そこに潜んでいた金の意志を、太陽の人として生きていく勇気へと育てていくのです。

moon over hills at dusk
Photo by Joseph Walker on Pexels.com

習慣から抜け出すための鉱物的サポート

習慣から抜け出せず、月的な繰り返しの中にとどまりやすい人の魂にとって、いくつかの鉱物エッセンスは大きな助けとなります。

オブシディアンエッセンス

非常に強力な鏡のような石であり、月的な無意識のパターンを「自らの目で見る」力を与えてくれます。過去の固定された自己像に直面する勇気を促し、意志の覚醒へと導く「魂の深部からの火」を宿しています。この時期にぴったりのエッセンス。

https://www.lala-itothermie.com/product-page/%E3%82%AA%E3%83%96%E3%82%B7%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%B3

「鉱物・色彩・生命のプロセスに学ぶ療法的アプローチ――ミクロコスモスに息づくマクロコスモス」
アントロポゾフィーと古代錬金術に基づく半年集中プログラム ―

またの名をPlanetary Alchemy(通称『アルケミーの講座』)

https://resast.jp/page/event_series/95348

投稿者: mayumicosmiclight

神奈川県生まれ神奈川県育ち。20代でオーストラリアに移住。在豪30年。 感覚の過敏さから精神的な不安定さに悩まされて大人になる。 40代で発達障害であると分かる。 シドニー大学博士課程終了。人文学専攻。(中世の錬金術、シンボリズムなど) 自分自身の生きづらさの真実を知るために様々な療法などを学び続ける。 シュタイナー教員養成コース終了後、オーストラリアのシュタイナー学校勤務。 手仕事の授業を担当するものの、手仕事を通して生きづらさそうな子ども、学習に時間がかかる子どものことばかりが気になり シュタイナー治療教育にあたるエクストラレッスン®を学ぶ。 現在はクリスタルエッセンス製造元であるCosmic Light Therapy® Cosmic Light Pty Ltdディレクター。 シュタイナー学校でのエクストラレッスン®プラクティショナーとCosmic Light社のディレクターという二足の草鞋を履きながら、鉱物療法、芸術療法、サウンドセラピー、など生きづらさや感覚過敏の人たちが、生きやすくなるような講座を主催。半年に1回、日本で子どものアセスメントと個別セッションを行っています。また、Cosmic Light®【Planetary Alchemy®】でアントロポゾフィーに基づく鉱物療法のプラクティショナーをもっと育てたい情熱をもとに全ての家庭の救急箱にクリスタルエッセンスを、と願う日々。 プライベートでは、国際結婚&国際離婚。子ども二人をシュタイナー学校に入れて働いてきたシングルマザーでもあります。人生の引き出しは色々あります。

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